「カカドゥ断崖」形成の謎


カカドゥ国立公園は、大変古くていろいろと興味深い地質学的歴史を秘めています。ここには地球上で最も古い露出した岩石もあります。よく観察すると、それぞれの場所が形成されてきた歴史が見えてきます。

断層崖(Escarpment)

1億4千万年前、カカドゥには浅い海が広がっており、長い年月をかけ古い砂岩台地が浸食されて海岸に崖が形成されました。この名残が緑の大地に250メートルの断層崖としてそびえ立っています。現在でも、この崖は水や風によって浸食を受けており、千年に1メートルの割合で後退しています。何千万年にわたる浸食によって砂岩台地は後退していきましたが、浸食に耐えて緑の大海のなかに離島のように取り残されたのがノーランジーやウビルの岩場です。

   <1億4千万年前>          <1億年前>

 中世代の海が広がり、古い砂岩層    中世代の海が後退し、堆積物が
 を浸食して海岸崖や離れ島を形成    浸食されて、現在見られるよう
 した。                な景観の主な構成要素が形成さ
                    れた。
        


氾濫原(Floodplain)

1億年ほど前には、海が後退して海底に堆積していた化石を含んだ砂岩や沈泥岩が浸食されていきました。現在、カカドゥの低地には広大な氾濫原が広がりダイナミックなシステムを見せてくれます。毎年、雨季の洪水で運ばれた土砂が積みかなっていきます。氾濫原は、多数の鳥たちにとってこれらの氾濫原は絶好の生息地となっており、カカドゥ国立公園を大きな魅力となっています。


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