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ロイヤルバイキングサン船長
キャプテン・ルラ

 とはいえ、早朝出発し、夕方船に戻るツアーは、くたびれもする。帰りのバスでは、居眠りをする年配客も出始めた。

 しかし港に着くと、そんな疲れなど吹き飛ぶような出来事が待っていた。バスから、船の姿が見える頃、音楽が聞こえ始めた。目を擦ると、船の楽団が岸壁に陣取って、「聖者の行進」を演奏しているではないか。景気の良いリズムに、元気をづけられ、バスを下りると、そこには、船のバー係がピンク色のパンチをお盆に掲げて待っていた。

 そして「お帰りなさい。聖書の旅はいかがでしたか?私たちは皆様のツアーに因み『ガリラヤの夕日』と言うカクテルを造ってお帰りをお待ちしていました。さあ、冷たいところをどうぞ」。

 洒落た言葉とともに手渡された飲みものは、乾いた喉にしみ込み甘露の味わい。パンチを飲みながら、船に近づくと、今度はウエイター達が2列の歓迎ラインで出迎えだ。

 「○○様、お帰りなさい」「○○様、ナザレは楽しかったですか?」と、右から、左からウエイターの声が掛かり、船客もそれに応えて手を振り合い、まるで映画スターになった気分で、ラインを通り抜け、ご帰還だ。

 前にいたアメリカ人船客が、こちらを振り返りウインクしながら「まるでパラダイスに戻ってきたようじゃないか。だから、サンが大好きなんだ」と述べた意見に、私も相槌をうった。そしてこの熱のこもった出迎えに、元気を取り戻し、明るい気分が沸いてきた。


絶妙なサービスのウェイター

 サンの船長、キャプテン・ルラは「この船は、お客様にとって第2の故郷。安心感と居心地の良さには自信があります」と語る。一方、接客全般を統括するエルツナー・ホテルマネージャーによれば「1回制の食事。高品質の食材。コンシェアージェサービス。フレンドリークルー」が、トップクルーズ維持の秘訣だという。

 確かにサンは「船客を、この上もないほどいい気持ち」にさせてくれる。某日朝食にメロンを注文すると、メロンのほかにウオーターメロンも2切。しかも赤い西瓜は、ハート型にくり貫かれていた。ウエイターの粋な計らいに「なんだか良い一日になりそう」な予感。そして、何気ない演出のでゴージャスなクルーズをより引き立たせ、船客を洋上物語の主人公気分に浸らせてくれる。

 サンでは、ウェイターはただの料理運び人ではなく、スチュワーデスはただの清掃係でもない。積極的に「何をしたらお客が喜ぶだろうか」を考え実践するサービスは、舌を巻くほどだ。加えて、クラシック音楽会や、元駐ギリシャ大使の講演等、格調高い催物の数々。キャビアやロブスター等高級食材をふんだんに使った、バラエティーに富んだ料理。もちろん、手入れの行き届いた清潔な船内もとても気持ちが良い。そして、随所に感じられるのが、世界トップクラスを維持し続けてきた、誇りと自信だ。堂々と、クルーズの王道を進むロイヤルバイキングサン。この船こそ、是非「高品質なものを好む」お客様に、お勧めしたい客船だ。



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