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 一方、客船で訪れる外国の良さも格別だ。

 各地で、民俗舞踊や楽隊による大歓迎を受けながらの入港。なんだかVIPになったような気分が味わえる。今どき飛行機の旅では、こんな光景は見られない。そして荷物をキャビンに置いたまま身軽に上陸する。カンガルーに出会ったり、ムーンバットの赤ちゃんを抱っこしたり、勇壮な大自然を眺めたりの楽しいオプショナルツアーも用意されていた。
ロスニー聖歌隊

 旅のほぼ折り返し地点、タスマニア島では、地元ロスニー少年少女聖歌隊の清らかな歌声に迎えられ入港した。そして夕刻からは、同聖歌隊の船上コンサートが開かれた。世界各地をコンサートツアーで巡り、日本へもやってきたほど実力の有る少年少女達は、最後に「赤とんぼ」を熱唱し、客席へ下りてきて、船客達と握手を交わした。可愛らしい手を握りながら「南半球で、赤とんぼが聞けるなんて」「なんだか、孫を思い出しちゃった」と目を潤ませる船客達。出航の岸壁には、タスマニア警察によるバグパイプの演奏と、聖歌隊の子供たちの「サヨナーラ、フジマル!」の声が尾を引き、外国旅情を掻き立てる。
タスマニアのブッチャートガーデン

 このクルーズの船客数約300名。平均年齢69歳。最高齢は94歳の1人旅の男性だった。主役はまさにシルバー世代で、まだまだ長期休暇取得が困難な日本では、若者がロングクルーズに押し寄せるのは不可能である。

 現在世界一のクルーズ大国は、年間約500万人のクルーズ人口を有するアメリカである。親子別居は当たり前というライフスタイルのアメリカでは、クルーズがシルバー層の大きな楽しみとしても存在している。整えられた食事と部屋。胸弾む異国への訪問。そして何よりも、人との出会いが有り、温もりを感じる生活が、彼らにとって最高の魅力だと言う。今や高齢化、核家族化を迎えた日本でも、今後シルバー世代にもたらすクルーズの意義はますます膨らんでいくことだろう。ふじ丸で、陽気に、溌溂と過ごすお客様を見ながら、私はそんな予感を感じた。

 97年は、ふじ丸ニュージーランド南太平洋40日間、飛鳥世界一周96日間、おせあにっくぐれいす東南アジア45日間等々、ロングクルーズが目白押しである。そして98年には、飛鳥に加え、ふじ丸の姉妹船にっぽん丸もいよいよ世界一周に乗り出す。にっぽん丸は、全行程90日間という短めの日数、そして、商船三井客船得意の南米を入れたコースが特徴だ。とうとう、日本にもロングクルーズ時代の幕開けがやってきた、とつくづく感じる昨今である。


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